苓甘姜味辛夏仁湯(ツムラ119番):リョウカンキョウミシンゲニントウの効果、適応症

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苓甘姜味辛夏仁湯の効果、適応症

苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)は、咳(せき)や喘鳴(ぜんめい:ゼーゼーという息苦しさ)を伴う痰(たん)に対して用いられる漢方薬の一つです。体内にたまった「痰飲(たんいん)」と呼ばれる不要な水分や粘液を取り除き、気管支や肺の通りを良くして咳や喘息症状を和らげる効果があります。また身体を温める生薬が含まれており、冷えによる症状を改善する働きも期待できます。以下のような症状・体質に対して効果が期待できます。

  • 痰の多い咳や喘息発作があり、ゼーゼーと喘鳴がする(気管支喘息)。痰は白っぽく水っぽいタイプで、寒い環境で悪化しやすい
  • 慢性の気管支炎痰が切れにくく常にゴホゴホ咳き込む。体力が低下し貧血ぎみで冷え性の方で、朝晩や湿気の多い日に症状が強まる。
  • 心臓や腎臓の機能低下に伴う咳やむくみがある。心不全などで横になると咳込む、足や顔がむくみやすい方(昔から「心臓性喘息」と呼ばれる状態)。

このように、苓甘姜味辛夏仁湯は体内に水分が滞留して咳や喘息を起こしているような方に用いられる処方です。比較的体力がなく貧血・冷え症傾向の人に合いやすいのも特徴です。中国の古典医学書に「支飲(しいん)」(胸部に水が停滞して起こる咳嗽)の治療薬として記載されており、痰や水分が原因の喘息・咳に対する昔ながらの特効薬とも言えます。現在では漢方の教科書で大きく取り上げられる処方ではありませんが、症状が合致すれば喘息や慢性咳嗽、むくみの改善に役立つことが期待できます。

よくある疾患への効果

気管支喘息(ぜんそく)

気管支喘息は、気道が炎症を起こし狭くなることでゼーゼーする発作や咳が起こる病気です。苓甘姜味辛夏仁湯は特に痰が多く出るタイプの喘息に適しています。喘息そのものの原因(アレルギー体質など)を治すわけではありませんが、痰をさばいて気道を広げ、気管支の炎症や過敏性を鎮めることで咳込みや息苦しさを和らげる補助効果があります。冷たい空気や夜間に発作が悪化しやすく、痰がからんで苦しい方に用いると、発作の頻度や症状の軽減が期待できます。なお、発作時の急性症状には西洋薬での治療が優先されますが、漢方薬として継続内服することで体質改善を図る一助となります。

慢性気管支炎・COPD(肺気腫)

長引く咳や痰が主症状の慢性気管支炎COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫)に対しても、苓甘姜味辛夏仁湯が応用されることがあります。とくに痰が多く切れにくい慢性の咳で、身体が冷えやすくむくみ傾向の方に適しています。生薬の働きで肺や気管支に溜まった余分な水分を取り除き、呼吸を楽にする効果が期待できます。慢性の肺気腫では心不全を合併して足がむくんだりすることがありますが、苓甘姜味辛夏仁湯は利水作用(りすいさよう:尿を出して水分をさばく作用)によって身体の水分バランスを整え、痰だけでなく軽いむくみや動悸(どうき)を改善することにも役立ちます。慢性の咳で西洋薬のみでは症状が残る場合に、体質に合わせて漢方を併用することで症状緩和を図ります。

同様の症状に使われる漢方薬との使い分け

咳や喘息の症状には、苓甘姜味辛夏仁湯以外にもいくつか漢方薬が用いられます。症状や体質の違いによって処方を選び分けることが大切です。ここでは、苓甘姜味辛夏仁湯と比較されやすい処方をいくつかご紹介します。

小青竜湯(19)(しょうせいりゅうとう)

小青竜湯(19)は、鼻水やくしゃみを伴う寒冷性の喘息に用いられる代表的な処方です。麻黄(マオウ)や桂枝(ケイシ)を含み、発汗作用で体表の寒気を発散しながら気管支を拡げる効果があります。苓甘姜味辛夏仁湯と同様に半夏や細辛、生姜などを含み水っぽい痰を改善しますが、小青竜湯の方が比較的体力がある方向けで、急性期の鼻炎症状(鼻づまり・鼻水)やくしゃみを伴う場合によく使われます。逆に体力がなく心臓に負担があるような場合は麻黄を含まない苓甘姜味辛夏仁湯の方が安全で適しています。このように、外表の寒さも除きたい時は小青竜湯、慢性的な水毒の咳には苓甘姜味辛夏仁湯といった使い分けがされます。

麻杏甘石湯(55)(まきょうかんせきとう)

麻杏甘石湯(55)は、熱っぽい喘息や気管支炎に用いられる処方です。石膏(セッコウ)という生薬を含み、熱を冷まし炎症を鎮める作用があるのが特徴です。薄い黄色~淡緑色の粘る痰が出て、「ゼーゼー」という喘鳴とともに体に熱感があるような場合に適しています。苓甘姜味辛夏仁湯との違いは、こちらは体力が比較的しっかりしていて体にこもった熱を冷ます必要があるケースに用いる点です。麻杏甘石湯には麻黄と杏仁が含まれ、気管支を拡張して咳を鎮める効果がありますが、同時に石膏で炎症を抑え汗ばむほどの熱感を取ります。痰の性状で使い分けることが多く、痰が黄色く粘り舌が赤いような熱証には麻杏甘石湯、痰が白くさらさらで舌苔が白いような寒証には苓甘姜味辛夏仁湯が選ばれます。

麦門冬湯(29)(ばくもんどうとう)

麦門冬湯(29)は、乾いた咳痰が少なく切れにくい咳に用いられる処方です。麦門冬(バクモンドウ)という生薬の滋陰作用(じいんさよう:潤いを補う作用)によって、乾燥した気道に潤いを与え、から咳や痰の絡む咳を和らげます。苓甘姜味辛夏仁湯とは対照的に身体に潤いを与える処方であり、痰が少なく喉が渇くような咳に適しています。もし咳は出ていても痰がほとんどなく、喉の乾燥感が強い場合には苓甘姜味辛夏仁湯より麦門冬湯の方が効果的です。一方、麦門冬湯は身体を温める力が弱いため、冷えが強く水っぽい痰が多い人には効果が出にくく、このようなケースでは苓甘姜味辛夏仁湯の出番となります。つまり、乾燥した咳には麦門冬湯、湿った痰の咳には苓甘姜味辛夏仁湯と覚えると分かりやすいでしょう。

副作用や証が合わない場合の症状

漢方薬全般に言えることですが、苓甘姜味辛夏仁湯も体質(証)が合った場合には副作用の少ない安全な処方とされています。しかし、まれに以下のような副作用が報告されています。

  • 偽アルドステロン症:含まれる甘草(カンゾウ)の影響で、長期連用や多剤併用により低カリウム血症をきたすと、血圧上昇やむくみ、体重増加、手足のだるさなどが現れることがあります。重症化すると脱力感や筋力低下(ミオパチー)を生じるため注意が必要です。
  • 消化器症状:人によっては胃もたれ、食欲不振、吐き気などが生じることがあります。半夏や細辛など刺激の強い生薬が含まれるため、胃が弱い方はまれに胃部不快感を感じることがあります。
  • 発疹などのアレルギー症状:ごくまれに皮膚に発疹、かゆみなどの過敏症状が起こる可能性があります。

こうした副作用は頻度は高くありませんが、もし服用中に異変を感じた場合は早めに医師に相談してください。特に足がつる、全身の力が入らない、ひどいむくみ・血圧上昇などがあれば服用を中止し、医療機関で血液検査(電解質など)を受けるようにします。

また、証(しょう)が合わない場合、期待した効果が得られないだけでなく不調を招くことがあります。苓甘姜味辛夏仁湯は体を温めて水をさばく薬ですので、もし体内に熱がこもって潤いが不足している人(例えば痰が粘って黄色く、喉が渇くような陰虚(いんきょ)の人)が飲むと、かえって喉の渇きやほてりが強まったり、痰が減らず咳が悪化する可能性があります。また、もともと胃腸が丈夫で水滞がない人が服用すると、必要な潤いまで奪われて口の渇き便秘傾向になることも考えられます。効果が見られないまま長期間服用するのは避け、証に合った別の漢方薬への切り替えを検討しましょう。

併用禁忌・併用注意な薬剤

苓甘姜味辛夏仁湯には明確な「併用禁忌(絶対に併用してはいけない薬)」は報告されていません。しかし、成分に注目するといくつか併用注意が必要な点があります。

まず、本処方には甘草(カンゾウ)が含まれており、これにはグリチルリチン酸という成分が含まれます。グリチルリチン酸を含む他の漢方薬や医薬品を併用すると、先述の偽アルドステロン症のリスクが高まる恐れがあります。例えば、芍薬甘草湯(68)補中益気湯(41)抑肝散(54)などの漢方薬、あるいはグリチルリチン製剤(肝臓の薬や湿疹の飲み薬など)をすでに服用している場合は注意が必要です。これらを苓甘姜味辛夏仁湯と長期間併用すると低カリウム状態を招きやすくなるため、医師が必要と判断する場合以外は重複を避けるか、やむを得ず併用する際は定期的に血液検査を行うなど慎重な経過観察が求められます。

また、利尿剤やステロイド剤を服用中の方も注意が必要です。これらの薬もカリウム排泄を促進したり血圧を上げたりする作用があるため、苓甘姜味辛夏仁湯の甘草と相まって副作用が出やすくなる可能性があります。高血圧や心不全で利尿薬を使っている方、喘息やリウマチでステロイドを使用中の方は、漢方薬の併用について事前に主治医と相談しましょう。

その他、細辛(サイシン)や杏仁(キョウニン)など特徴的な生薬が含まれるため、他の漢方薬との重複にも注意します(例えば小青竜湯にも細辛・半夏・甘草・生姜・杏仁が含まれるため、漫然と併用すると過剰投与になる可能性があります)。他の漢方薬を併用する場合は、それぞれの処方に含まれる生薬が重なっていないか医師・薬剤師に確認してもらうことが大切です。

サプリメントや健康食品についても、利尿作用のあるハーブやカリウム排出に影響する成分を含むものが考えられます。自己判断での組み合わせは避け、服用中のものがあれば必ず医師・薬剤師に伝えておきましょう。

含まれている生薬の組み合わせ、なぜその生薬が選ばれているか

苓甘姜味辛夏仁湯は、その処方名が示すとおり7種類の生薬を組み合わせて作られています。基本となる生薬構成は「茯苓(ブクリョウ)」「甘草(カンゾウ)」「乾姜(カンキョウ)」「五味子(ゴミシ)」「細辛(サイシン)」「半夏(ハンゲ)」「杏仁(キョウニン)」の組み合わせです。処方名の「苓甘姜味辛夏仁」は、実はこれら生薬名の一部をつなげたものになっています。それぞれの生薬がどのような役割で選ばれているのかを見てみましょう。

茯苓(ブクリョウ)

茯苓はサルノコシカケ科の菌類(キノコ)の一種で、朴の木の根に寄生してできる朴茸(ほうちゅう)という生薬です。余分な水分を尿として排泄させ、胃腸の働きを整える作用を持ちます。苓甘姜味辛夏仁湯では、茯苓が体内に停滞した水分(痰飲)をさばく中心的な役割を担っています。利尿によって体の水はけを良くし、また心神を安定させる鎮静作用もあるため、痰飲による胸のつかえ感や動悸を鎮める効果も期待できます。他の生薬(半夏や甘草)と協力して脾(ひ:消化機能)を助け、水分代謝を改善することで、咳やむくみを根本から改善する土台となります。

甘草(カンゾウ)

甘草は漢方で最も頻用される調和の生薬です。さまざまな生薬の毒性や刺激を和らげ、全体のバランスを整える働きがあります。また鎮咳作用(咳を鎮める作用)や鎮痙作用(筋肉のけいれんを抑える作用)も持ち、咳による気管支の痙攣を緩和するのに役立ちます。苓甘姜味辛夏仁湯では、甘草が各生薬の働きを調節しつつ肺を潤して咳を収める一助となっています。ただし、甘草の過剰摂取は前述のように副作用の原因にもなるため、含有量は適切に調整されています。

乾姜(カンキョウ)

乾姜はショウガを乾燥させた生薬で、身体を内側から温める働きがあります。特に肺を温めて冷えによる寒咳(さむざむとした咳)を改善し、また脾胃(消化器)を温めて水分代謝を高める作用があります。苓甘姜味辛夏仁湯において乾姜は、冷えて機能が低下した肺と脾を温め直し、停滞した水分(痰飲)を温めて散らす役割を担います。乾姜の発汗・温中作用によって、寒さで縮こまった気管支を開き、痰の排出を促進します。生姜由来のピリッとした辛味成分が含まれており、体を芯から温める生薬と言えるでしょう。

五味子(ゴミシ)

五味子はマツブサ科の植物の果実で、酸味が非常に強い生薬です。その名のとおり五つの味を持つとされますが、特に酸味(すっぱい味)が特徴で、漢方では肺気を引き締める収斂作用(しゅうれんさよう)があります。具体的には、咳を鎮める作用や、肺から気(エネルギー)が漏れ出るのを防ぐ作用があります。苓甘姜味辛夏仁湯では、五味子が散らばろうとする肺気をギュッと収めて咳を止める効果を発揮します。とくに細辛など発散させる生薬と組み合わせることで、一方で邪気を散らしつつ一方で正気(体力)は漏らさないようにするというバランス調整の役割を果たしています。また、五味子には肺や腎を滋養する作用もあり、慢性の咳で消耗しがちな体力を補う意味もあります。

細辛(サイシン)

細辛はウスバサイシンなどの根茎で、非常に強い辛味を持つ生薬です。少量で体を温め発汗させる効果があり、鎮咳・去痰作用も期待できます。細辛は肺を温めて停滞する飲(痰のもととなる水)を散らす作用に優れ、冷え込みによる喘鳴を鎮めるのに有効です。苓甘姜味辛夏仁湯では、乾姜とともに肺を温めて痰飲を溶かし出す役割を担っています。五味子との組み合わせで「一散一収」(いっさんいっしゅう:散らすものと収めるもの)と言われ、細辛が病邪を散らし五味子がそれを収めることで、必要以上に体力を消耗させずに痰を除去するという巧みな配合になっています。ただし細辛は刺激が強いため、用量は慎重に管理されており、エキス製剤では安全な範囲で配合されています。

半夏(ハンゲ)

半夏はカラスビシャクというサトイモ科植物の塊茎を加工した生薬です。漢方における代表的な去痰薬で、湿を乾かして痰を除く作用があります。また嘔吐を止める作用もあり、痰湿が原因の吐き気や咳に幅広く使われます。苓甘姜味辛夏仁湯において半夏は、茯苓や乾姜と共に痰湿を取り除く中心的な生薬です。痰をサラサラにして切れやすくし、気道から排出させる働きをします。さらに、半夏は生姜(乾姜)との相乗効果で胃の働きを高め、薬剤全体の吸収を良くする役割も果たします。半夏が痰を除くことで、咳の原因物質そのものを減らし、根本的な症状改善につなげます。

杏仁(キョウニン)

杏仁は杏(あんず)の種子で、アンズの核を割って中の仁(さね)を取り出したものです。鎮咳去痰作用および鎮喘作用(気管支の喘鳴を鎮める作用)を持つ生薬で、古くから咳止めとして重宝されてきました。杏仁には苦味成分であるアミグダリンが含まれ、これが咳中枢を抑制したり気管支を拡張したりすることで咳や喘息を和らげます。苓甘姜味辛夏仁湯では、杏仁が気逆(きぎゃく:気が上逆すること)を鎮めて肺気を下ろし、ゼーゼーした喘ぎを改善する役割を担っています。また杏仁の油分が潤滑剤となり、乾姜や半夏の刺激を緩和して肺を適度に潤す効果もあります。痰を除くだけでなく咳そのものを鎮め息苦しさを改善する要となる生薬です。

苓甘姜味辛夏仁湯にまつわる豆知識

  • 名前の由来:「苓甘姜味辛夏仁湯」という名称は、生薬名の一文字ずつを繋げて構成されています。(茯苓)、(甘草)、(乾姜)、(五味子)、(細辛)、(半夏)、(杏仁)という具合です。このように処方名から構成生薬がわかる命名は漢方では珍しくありません。全ての生薬名を盛り込んでいるため、逆に言えばこの処方には7種の生薬以外含まれていないことも示しています。
  • 歴史:苓甘姜味辛夏仁湯は中国の古典に由来する処方ですが、有名な処方に比べると歴史上の記録が少ないマイナーな処方です。明代の医書などに「痰飲による咳や身体の腫れ(浮腫)を治す方剤」として記載がありますが、近代漢方の教科書にはほとんど登場しませんでした。日本でも長く一般的ではありませんでしたが、津村順天堂(ツムラ)がエキス製剤(ツムラ番号127番)として販売していることもあり、現在は必要に応じて処方が行われています。適応に合致すれば現代でも有用な処方であり、知る人ぞ知る漢方の秘方と言えるかもしれません。
  • 小青竜湯との関係:苓甘姜味辛夏仁湯は、その組成から小青竜湯(19)との比較で語られることがあります。小青竜湯も痰の多い喘息に使われる処方ですが、麻黄・桂枝・芍薬などを含み、外感(外からの寒邪)を発散する力が強い処方です。一方で苓甘姜味辛夏仁湯には麻黄や桂枝といった発汗させる生薬が含まれず、代わりに茯苓で利水し杏仁で鎮咳するように構成されています。つまり、小青竜湯が急性期の喘息やアレルギー症状を伴う場合に適し、苓甘姜味辛夏仁湯は慢性期で体力が落ちた喘息や心肺機能低下に伴う咳に適すると整理できます。特に心臓が弱い方に麻黄は負担が大きいので、心不全を合併するような喘息には苓甘姜味辛夏仁湯が選ばれる傾向があります。このように、似た症状でも体質や病態に合わせて処方が使い分けられているのです。
  • 味について:苓甘姜味辛夏仁湯はかなり独特な味の漢方薬です。五味子の強い酸味と、乾姜・細辛のピリッとした辛味が合わさり、エキス顆粒を口に含むと「酸っぱくて辛い」刺激的な風味を感じます。甘草が入っているため後味にほのかな甘みもありますが、他の呼吸器の漢方(例えば甘い風味の麦門冬湯など)に比べると飲みにくさを感じる患者さんもいるようです。酸味には肺を収斂する効果、辛味には発散・去痰の効果があるため味にも薬効が反映されています。どうしても服用しづらい場合は、水で服用せず直接舌に載せずにオブラートに包むなどの工夫をすると飲みやすくなるでしょう。

まとめ

苓甘姜味辛夏仁湯は、体内に痰飲が停滞し、それによって咳や喘鳴、むくみなどの症状が起きている方に適した漢方薬です。身体を温めながら余分な水分(痰や飲)をさばき、気管支の通りを良くすることで、気管支喘息や慢性気管支炎などの咳・痰症状を和らげる効果が期待されます。比較的副作用の少ない処方とされていますが、体質に合わない場合や他の漢方薬・医薬品との併用には注意が必要です。熱証や陰虚など適応でない証では効果が出にくいため、専門家による証の見立てが重要になります。

当クリニックでは患者様の症状や体質(証)をじっくりと伺い、一人ひとりに合った漢方薬をご提案しています。
証の判断・漢方薬の選択に悩む場合は長崎クリニック浜町漢方外来までぜひご相談ください。

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