二朮湯の効果、適応症
二朮湯(にじゅつとう)は、関節の痛み、とくに肩や腕の痛みに対して用いられる漢方薬のひとつです。
いわゆる「痰湿(たんしつ)」と呼ばれる余分な水分や粘液が体に滞った状態を改善し、経絡(けいらく:体のエネルギーの通り道)の巡りを良くして痛みを和らげる効果があります。以下のような症状・体質に対して効果が期待できます。
- 五十肩(肩関節周囲炎)で肩を動かすと痛み、腕が上がりにくい
- 関節リウマチで関節が腫れてこわばり、痛みが慢性的に続く
- 肘や手首など上肢の関節痛・神経痛で、湿気や気候によって症状が悪化しやすい
このように、二朮湯は体内に「水毒(すいどく)」(不要な水分や痰)がたまり、ぽっちゃり体型でむくみやすく、消化器が弱い方の肩や関節の痛みに用いられる処方です。
中国の古典医学書『万病回春(まんびょうかいしゅん)』に「痰飲(たんいん)による両腕の痛みを治す処方」として記載されており、五十肩に対する昔ながらの特効薬とも言われています。
近年の漢方の教科書にはあまり登場しませんが、症状に合致すれば肩や関節の痛み・しびれを和らげる効果が期待できます。
よくある疾患への効果
五十肩(肩関節周囲炎)
中年以降にみられる五十肩(肩関節周囲炎)は、肩の関節周辺に炎症が起こり腕が上がらなくなる状態です。二朮湯は五十肩の痛みや可動域制限の改善によく用いられます。肩周りに滞った「湿(しつ)」(余分な水分)や「痰(たん)」(粘性物質)を取り除き、経絡の通りを良くすることで肩のこわばりをほぐし、痛みを鎮めるとされています。
実際に「夜間に肩がうずいて眠れない」「服を着替えづらい」といった五十肩の症状が、二朮湯の服用で緩和し、肩が動かしやすくなるケースがあります。
五十肩に対して古くから用いられ、「五十肩の特効薬」と評価する意見もあるほどです。ただし、炎症の初期で熱感が強い場合は別の処方が選ばれることもあります。
関節リウマチ
関節リウマチは関節が腫れて痛み、朝のこわばりなどが生じる自己免疫疾患です。二朮湯はリウマチそのものを治すわけではありませんが、関節の腫れや痛みを和らげる補助的な目的で用いられることがあります。
特に、リウマチ患者様の中でも 雨や湿気の多い日に症状が悪化しやすいタイプや、関節に水が溜まりやすくぽちゃぽちゃと腫れるタイプの方に適しています。体内の余分な水分や痰を除去し、血行を促進することで、関節の腫れやこわばりを緩和し、関節の動かしやすさをサポートします。
関節リウマチでは西洋医学的な治療が中心となりますが、二朮湯のような漢方を併用することで痛みのコントロールや生活の質向上に役立つ場合があります。
その他の肩・腕の痛みやしびれ
二朮湯は上記以外にも、手首の痛みや肘の痛み、腕のしびれなど、上肢の慢性的な痛みに応用されることがあります。たとえば更年期以降の女性で「手根管症候群(手首の神経の圧迫による手のしびれ)」があり、かつ体がむくみがちな場合や、頚椎症に伴う腕のだるさ・痛みが湿気で悪化するような場合です。
こうした症状に対して、二朮湯は体内の余分な水分をさばき、血行を促すことで鈍い痛みやしびれ感を和らげる一助となることがあります。
ただし症状や体質によって他の処方が適する場合もあり、専門家の判断が重要です。
同様の症状に使われる漢方薬との使い分け
関節痛や五十肩の症状には、二朮湯以外にもいくつか漢方薬が用いられます。症状や体質の違いによって処方を選び分けることが大切です。ここでは、二朮湯と比較されやすい処方をいくつかご紹介します。
桂枝加朮附湯(18)
桂枝加朮附湯(18)(けいしかじゅつぶとう)は、体を温めながら湿を除き、関節痛を和らげる処方です。冷えが強く、汗をかきやすく体力が低下している方の関節痛や神経痛によく用いられます。
桂枝加朮附湯は桂枝湯(けいしとう)に白朮(ビャクジュツ)と附子(ブシ)を加えた処方で、冷えによる痛みやむくみを改善することに優れます。特に寒いと痛みが悪化し、手足が冷えているケースに向いており、逆にほてりや炎症の熱が強い場合には適しません。二朮湯と比べると、痰や水分の滞りというより「冷え」と「虚弱」がポイントとなる処方です。
麻杏薏甘湯(78)
麻杏薏甘湯(78)(まきょうよくかんとう)は、麻黄(マオウ)を含む比較的体力のある方向けの処方です。関節痛や筋肉痛があり、腫れや熱感がそれほど強くない場合に用いられます。麻黄の発汗・鎮痛作用と薏苡仁(ヨクイニン)の湿を取り除く作用により、関節や筋のこわばりをほぐし痛みを軽減します。
リウマチ熱や関節の腫れが引ききらず微熱が続くようなケースで使われることもあります。またいぼや湿疹など皮膚のざらつきがある体質にも適するという特徴があります。二朮湯と比べて、麻杏薏甘湯はやや実証(体力中等度以上)向きで、寒湿というより風湿(ふうしつ:風邪と湿気)の痛みに対応する処方といえます。
防已黄耆湯(20)
防已黄耆湯(19)(ぼういおうぎとう)は、肥満傾向で汗かき、むくみやすい方の関節痛に用いられる処方です。関節リウマチの初期や変形性関節症で関節に水が溜まりやすい人に処方されることがあります。
防已(ボウイ)と黄耆(オウギ)の組み合わせで余分な水分を排出し、関節の腫れや痛みを改善する働きがあります。膝などの関節に腫れ・水腫があるケースや、雨が降る前に関節が腫れて重だるくなるタイプに向いています。
二朮湯との違いは、防已黄耆湯の方が利水作用(尿による水分除去)が強く、汗っかきで疲れやすい「虚証」の人向けという点です。一方、二朮湯は汗の問題より痰湿の停滞による痛みに焦点を当てています。症状に応じてこれらを使い分けることで、より効果的に痛みを和らげることができます。
副作用や証が合わない場合の症状
二朮湯は比較的マイルドな処方ですが、体質に合わない場合や長期間・大量に服用した場合、副作用が現れる可能性があります。
- 消化器症状:胃もたれ・食欲不振・吐き気・下痢など。温燥作用のある生薬が多く含まれるため、胃腸が弱い方はこれらの症状に注意が必要です。服用中に強い胃の不快感が続く場合は中止し、医師に相談してください。
- 皮膚症状:発疹、かゆみ、蕁麻疹(じんましん)などのアレルギー反応がまれに起こることがあります。服用後に皮膚の異常を感じた際も、早めに医療機関へご相談ください。
- 重篤な副作用:二朮湯には甘草(カンゾウ)が含まれます。長期大量服用や他の甘草含有製品との併用により、低カリウム血症に伴う筋力低下や高血圧(偽アルドステロン症)を引き起こすおそれがあります。むくみが強く出たり、脱力感や血圧上昇が見られた場合は、すみやかに専門医に相談してください。
また体質(証)が合わない場合、効果が十分得られないばかりか症状が悪化することがあります。
例えば体内の陰液が不足している陰虚(いんきょ)の方や、ほてりや乾燥が強い方に二朮湯を用いると、かえって喉の渇きやほてりが増すことがあります。そのため、「のぼせが強い」「乾燥して痰が少ない」タイプの痛みには適さない処方です。このような場合には別の漢方薬が検討されます。
併用禁忌・併用注意な薬剤
二朮湯には麻黄や附子のような刺激の強い生薬は含まれておらず、絶対的な併用禁忌とされる薬剤は比較的少ないとされています。ただし、以下のような場合には併用に注意が必要です。
- 利尿薬や副腎皮質ステロイド剤との併用:二朮湯の利水作用や甘草の作用により、利尿薬(例:フロセミドなど)やステロイド剤と一緒に服用するとカリウムが失われやすくなる可能性があります。低カリウム血症による筋力低下や不整脈を招かないよう、これらを服用中の方は医師に相談の上で使用してください。
- 降圧薬や強心薬との併用:二朮湯を服用してむくみが取れると血圧や循環動態が変化する場合があります。降圧薬(高血圧の薬)や強心薬(心不全の薬)をご使用中の方は、漢方服用開始後の体調変化に注意し、必要に応じて主治医に経過を報告してください。特にジギタリス製剤を服用中の場合、カリウム低下に伴う作用増強に注意が必要です。
- 抗凝血薬との併用:二朮湯に含まれる生薬(例えば黄芩など)には血液凝固に影響を及ぼす可能性が指摘されているものがあります。ワルファリンなど抗凝血薬を服用中の方が二朮湯を併用する際は、定期的に血液検査を受けるなど慎重な経過観察が望まれます。
- 他の漢方薬やサプリメント:二朮湯と作用の似た生薬(例えば半夏や蒼朮など)を含む漢方薬を併用すると、生薬成分が重複し副作用リスクが高まる可能性があります。またサプリメント類との相互作用も考えられるため、自己判断での併用は避け、服用中のものがあれば医師・薬剤師に伝えてください。
含まれている生薬の組み合わせ、なぜその生薬が選ばれているか
二朮湯は、その名の通り12種類の生薬を組み合わせて作られています。
基本的な処方構成は「蒼朮(ソウジュツ)」「白朮(ビャクジュツ)」「茯苓(ブクリョウ)」「陳皮(チンピ)」「天南星(テンナンショウ)」「香附子(コウブシ)」「黄芩(オウゴン)」「威霊仙(イレイセン)」「羌活(キョウカツ)」「半夏(ハンゲ)」「甘草(カンゾウ)」「生姜(ショウキョウ)」の組み合わせです。二種類の「朮」を使っていることが処方名の由来にもなっています(蒼朮と白朮の“二朮”)。
蒼朮(ソウジュツ)
湿気を取り除き、身体を温めて痛みを散らす作用を持つ生薬です。蒼朮は体内の余分な水分(湿)を強力に乾かし、食欲不振やむくみを改善します。さらに発汗を促して表面の寒湿を追い出す働きもあるため、関節の重だるさや冷えを伴う痛みに効果的です。二朮湯では白朮とともに脾(ひ:消化機能)を健やかにし、水滞を除く中心的な役割を担っています。
白朮(ビャクジュツ)
白朮も蒼朮と同じく健脾利水(けんぴりすい):脾を強めて水をさばく作用があります。蒼朮に比べて穏やかで持続的に胃腸を支える生薬で、消化吸収を助けて気力を補い、水分代謝を良くする働きがあります。二朮湯では蒼朮とペアで用いることで、強い燥湿作用と胃腸への負担軽減のバランスを取っています。筋肉や関節に余分な水分が溜まって起こる痛み(湿痺〈しつぴ〉)に対し、白朮が土台から体質改善を図ります。
茯苓(ブクリョウ)
茯苓は余分な水分を排泄し、胃腸の働きを整える生薬です。利尿作用によって体内の水分バランスを調節しつつ、神経の高ぶりを鎮める鎮静作用も持ちます。二朮湯では白朮・蒼朮と協力して湿を除き、むくみやこわばりを和らげる役割があります。また心身を安定させる働きから、慢性的な痛みに伴う不眠や不安の軽減にも一役買っています。
陳皮(チンピ)
陳皮はミカンの皮を乾燥させた生薬で、気の巡りを良くし、消化を助け、痰をさばく作用があります。二朮湯において陳皮は、胃腸の働きを高めて他の生薬の吸収を促進する「潤滑油」のような役割を果たします。さらに、滞った気を巡らせて痛みを緩和する効果も期待できます。特に食欲不振や胃の膨満感を伴うようなタイプの関節痛では、陳皮が症状全体の改善に寄与します。
天南星(テンナンショウ)
天南星は頑固な痰を乾かし、経絡にこびりついた不要物を除去する作用をもつ生薬です。有毒のため生姜などで加工(製天南星)して用います。風痰を散らし、痰が絡む痛みやしびれを止める働きがあり、古くから痰が原因の麻痺や関節痛に使われてきました。二朮湯では少量ながら重要な構成生薬で、肩や肘の関節に溜まった粘液様の物質(痰湿)を取り除き、痛みを鎮める役割を担っています。
香附子(コウブシ)
香附子は肝の気を巡らせ、痛みを和らげる生薬です。特に女性の月経痛や情緒不安定に用いられることで知られていますが、全身の気滞を取り除く作用があるため関節痛にも配合されています。香附子が加わることで、痛みによるストレスを和らげ、気の滞りからくる痛みを緩和します。また、二朮湯の中心である脾・肺だけでなく肝経の流れも調整することで、上半身のこわばりを解消するのに寄与しています。
黄芩(オウゴン)
黄芩は熱を冷まし湿を乾かす生薬で、消炎・抗菌作用を持ちます。二朮湯では数少ない清熱薬であり、炎症や熱感を鎮める安全弁のような役割を果たしています。蒼朮や天南星など温燥性の生薬が多い中で黄芩を加えることで、体内に余分な熱がこもるのを防ぎ、炎症のコントロールをします。また、肩や肘の痛みにしばしば伴う軽い腫れや赤みを沈静化する働きも期待できます。全体として温熱寄りの二朮湯において、黄芩は配合バランスを整えつつ痛みの原因となる炎症を和らげる重要な生薬です。
威霊仙(イレイセン)
威霊仙は風湿を除き、経絡を通じさせ、痛みを止める作用を持つ生薬です。関節や筋肉の痛み、しびれに古来より用いられてきました。威霊仙を加えることで、二朮湯は関節痛そのものへの鎮痛効果を高めていると考えられます。特に関節の曲げ伸ばしで痛む、動かすとゴリゴリ音がするようなケースで効果的です。また、威霊仙には血行を促進し瘀血(おけつ)を散らす働きもあり、慢性痛で生じた局所の血行不良を改善するのにも役立ちます。
羌活(キョウカツ)
羌活は身体を温めて風・寒・湿を発散させ、痛みを和らげる生薬です。特に上半身の痛みに効くと言われ、首肩のこりや頭痛、肩関節の痛みにしばしば使われます。二朮湯では羌活が入ることで、肩や上肢の痛みに対する即効性が期待できます。羌活は冷えと湿気で生じた痛み(風寒湿痺)に効果的で、蒼朮や威霊仙と協力して、五十肩のような頑固な肩の痛みを緩和します。また、羌活が表在の邪(外からの寒湿)を取り除くことで、他の生薬が内部の痰湿に作用しやすくなります。
半夏(ハンゲ)
半夏は湿を乾かし、痰を取り除く代表的な生薬です。吐き気を鎮め胃内の水滞を除く作用も持ち、二朮湯では陳皮や茯苓とともに痰湿を除去する中核となっています。特に胃腸にたまった水分や痰を捌いて全身の水の巡りを改善することで、間接的に関節周囲の水毒を減らします。半夏も有毒なため生姜で加工(姜半夏)してあり、少量でも強い燥湿作用を発揮します。二朮湯における半夏は、痰による関節の腫れや違和感を取り除き、他の生薬の働きを調和させる縁の下の力持ちです。
甘草(カンゾウ)
甘草は全体を調和し、緩和剤として働く生薬です。甘味で胃を守りつつ、鎮痛や消炎作用も持ち合わせます。二朮湯では、複数の生薬の癖を丸くまとめ、副作用を抑える役割があります。例えば天南星や半夏の刺激性を和らげ、胃腸への負担を軽減します。また、痛みでこわばった筋肉を緩める鎮痙作用もあるため、肩や背中の筋緊張をほぐす助けにもなります。ただし含有量が多くなると前述の偽アルドステロン症の原因となりうるため、他の甘草含有薬との重複には注意が必要です。
生姜(ショウキョウ)
生姜は身体を温め、胃腸を守りつつ発汗させる生薬です。二朮湯では、生姜が半夏や天南星の毒性を解消し、胃の機能を高める目的で配合されています。姜半夏などと組み合わせることで、より安全かつ効果的に痰湿を除くことができます。また、生姜自体も血行促進と鎮痛効果があり、冷えを伴う関節痛において痛みを和らげる一助となります。さらに、生姜の発汗作用は蒼朮や羌活の作用を後押しし、体内に滞る余分な水分を追い出すのにも貢献しています。
二朮湯にまつわる豆知識
- 名前の由来:「二朮湯」の「二朮」とは二種類の朮(=朮と呼ばれる生薬)を使っていることに由来します。朮には白朮と蒼朮があり、ともにキク科の根茎ですが、白朮は脾を補い水をさばく力、蒼朮は湿を飛ばし痛みを除く力に優れています。この白朮・蒼朮のコンビを活かした処方であるため「二朮湯」と名付けられました。
- 歴史:先述のとおり中国明代の『万病回春』に収載されていますが、実は近代の漢方医学書にはほとんど登場しない処方です。五十肩のような痛みに対する有用性から、一部の熟練漢方家によって伝承されてきた経緯があります。日本の市販漢方製剤では扱いが少ないため認知度は高くありませんが、症例によっては現代でも十分活用しうる処方です。
- 「二陳湯」との関係:二朮湯の処方構成を見ると、半夏・陳皮・茯苓・甘草から成る二陳湯(にちんとう)に蒼朮・白朮や威霊仙・羌活などを加味した形になっています。二陳湯は痰を除く基本方剤ですが、二朮湯ではそこに朮類で湿を除き、羌活や威霊仙で痛みを取る工夫がされています。このように、古典方剤を組み合わせて応用するのも漢方処方の特徴で、二朮湯はその好例といえます。
- 肩関節と経絡:漢方では、肩の痛みには肺経・大腸経・小腸経・三焦経といった経絡の滞りが関与すると考えます。二朮湯はこれら経絡の流れを良くするよう設計されています。特に蒼朮・羌活が太陽経(小腸経)を温め、香附子が少陽経(三焦経)を通じさせることで、肩関節に関わる複数の経絡エネルギーを調整するとされています。
まとめ
二朮湯は、体内に痰湿が停滞し、それによって関節や上半身に痛みが生じている方に適した漢方薬です。身体の余分な水分や粘質(痰)を捌きつつ血行を促し、経絡の通りを良くすることで、五十肩や関節リウマチなどの痛み・こわばりを改善することが期待されます。
比較的副作用の少ない処方とされていますが、体質に合わない場合や他の漢方薬・医薬品との併用には注意が必要です。陰虚など適応でない証では効果が出にくいため、専門家による証の見立てが重要になります。
当クリニックでは患者様の症状や体質(証)をじっくりと伺い、一人ひとりに合った漢方薬をご提案しています。
証の判断・漢方薬の選択に悩む場合は長崎クリニック浜町漢方外来までぜひご相談ください。