猪苓湯の効果、適応症
猪苓湯(ちょれいとう)は、排尿に関するトラブル全般に幅広く用いられてきた漢方薬の一つです。漢方では、体内に余分な水分が滞っている状態を「水滞(すいたい)」または「水毒(すいどく)」と呼び、これを解消して尿として排出する作用を「利水(りすい)」といいます。猪苓湯はまさに体内の水滞を改善する利水剤で、尿の出にくさや痛みを和らげる効果があります。以下のような症状・疾患に対してよく用いられます。
- 膀胱炎:排尿時に下腹部の痛みや灼熱感があり、頻繁にトイレに行きたくなる(残尿感が強く何度も少量ずつ尿が出る)状態。
- 尿路結石:腰や下腹に激しい痛みを伴い、尿が途切れがちで血尿(尿に血が混じる)が見られる場合。
- むくみ:尿量が減って身体に水分が溜まり、手足や顔がむくむ。喉が渇きやすく、尿の色が濃い。
このように、猪苓湯は尿が十分に出ず体内に水分と熱がこもった状態(ときに口渇〈口の渇き〉を伴う)を改善する処方です。排尿困難、排尿痛、頻尿、残尿感など泌尿器系のさまざまな不調に応用され、比較的体質を問わず幅広い方に使いやすい点も特徴です。
よくある疾患への効果
膀胱炎(尿路感染症)
膀胱炎は主に細菌感染によって膀胱に炎症が起こり、排尿時の痛みや頻尿を引き起こす疾患です。特に女性に多く見られます。猪苓湯は膀胱炎による典型的な症状(排尿痛、残尿感、頻尿など)を和らげるためによく用いられます。尿の出を促進し、尿とともに炎症の原因となる菌や老廃物を洗い流すことで膀胱内の炎症を鎮めるとされています。
また、本方に含まれる生薬が膀胱の粘膜を保護し、痛みや違和感を軽減してくれる点も特徴です。実際に「排尿時のヒリヒリする痛みが和らぎ、トイレの回数が減った」という患者様の声もあります。ただし細菌性膀胱炎では抗生物質による治療が基本となるため、猪苓湯は症状緩和や再発予防の補助として用いられます。
尿路結石
尿路結石は腎臓や尿管・膀胱に結石(石の塊)ができて尿路を塞ぎ、腰背部から下腹部にかけて激しい痛み(疝痛)や血尿を生じる病態です。猪苓湯は古くから「石淋(せきりん)※」と呼ばれる結石による排尿障害の治療にも使われてきました。利尿作用によって尿量を増やし、結石を尿と一緒に押し流すことで排石(はいせき:石を出すこと)を促進する効果が期待できます。
実際、小さな結石であれば猪苓湯の服用により自然排出を促し、手術を避けられる場合もあります。また、結石が粘膜を傷つけて起こる血尿や炎症に対して、本方に含まれる阿膠(あきょう)が出血を抑えてダメージを修復するのを助けます。こうした作用により、結石による疼痛や違和感を和らげ、結石排出後の尿路の治癒を早めてくれる処方と言えます。
※「石淋(せきりん)」:漢方医学で結石による排尿障害を指す病名。
その他の尿トラブル
猪苓湯は上記の膀胱炎や結石以外にも、泌尿器の様々なトラブルに応用されます。例えば、慢性的に膀胱炎を繰り返し膀胱の違和感や残尿感が続くような方に対し、炎症を抑えて頻尿を改善する目的で長期的に用いられるケースがあります。また、高齢男性の前立腺肥大症による排尿困難・夜間頻尿に、猪苓湯を併用して膀胱に溜まった余分な水分を排出させ、残尿感や夜間のトイレ回数を軽減することもあります。
さらに、ストレスや神経過敏による「神経性頻尿」で尿に異常がない場合でも、体内に湿熱(しつねつ)※がこもっている体質では猪苓湯が奏効することがあります。このように、原因を問わず「尿が出にくい」「近い」「残る」といった症状全般に、患者様の証(しょう)に合わせて猪苓湯が検討されます。
※「湿熱(しつねつ)」:体内に余分な湿気と熱がこもった状態を指す漢方用語。
同様の症状に使われる漢方薬との使い分け
排尿トラブルの治療には、猪苓湯以外にもいくつかの漢方薬が用いられます。症状の程度や患者様の体質(証)によって最適な処方を選ぶことが大切です。ここでは、猪苓湯と比較して用いられることの多い代表的な処方と、その使い分けのポイントをご紹介します。
五淋散(56)
五淋散(ごりんさん)は、膀胱や尿道の炎症を改善し、尿量を増やして菌や老廃物を押し流す作用を持つ処方です。11種類もの生薬を配合しており、その名の通り「五種類の淋病(りんしょう:尿トラブル)」すべてを治す目的で考案された歴史があります【「淋病」は昔の漢方で尿の不調全般を指す】。猪苓湯と同様に排尿痛・頻尿・残尿感などに用いられますが、より慢性的な膀胱炎や長引く尿路炎症に適するとされています。体力中等度で、尿の色が濃く少量ずつしか出ないようなタイプに向き、疲労や冷えで症状が悪化する傾向のある人によく使われます。
猪苓湯に含まれない生薬(例えば当帰など)が配合されており、膀胱粘膜の血流を改善して組織修復を促す働きが強い点も特徴です。そのため血尿を伴う場合や、膀胱の痛みが強い場合には猪苓湯よりも五淋散が選ばれます。
一方で五淋散には猪苓湯の阿膠のような滋陰(じいん:陰液を補う)作用はないため、口渇が著しい場合や尿量減少が顕著な急性期には猪苓湯が優先されることもあります。
竜胆瀉肝湯(76)
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)は、猪苓湯や五淋散よりもさらに熱(炎症)が強い場合に用いられる処方です。竜胆(リンドウ)という非常に苦い生薬を主薬とし、肝・膀胱経の「実熱(じつねつ)」を強力に冷まし、下半身の炎症と痛みを取り除きます。尿路感染症の中でも高熱を伴う腎盂腎炎や、激しい排尿痛・尿道の灼熱感を伴う膀胱炎・尿道炎に対して用いられ、体力のある実証タイプに適します。
例えば症状が急激で真っ赤な尿が出るような膀胱炎では、竜胆瀉肝湯が選択されることがあります。猪苓湯と比べると、竜胆瀉肝湯は熱を冷ます作用が格段に強い反面、体を乾かす力も強いため、長期の服用には向きません。炎症の勢いがひとまず落ち着いた後は、猪苓湯などマイルドな処方に切り替えて体力を消耗しすぎないよう調整します。
八味地黄丸(7)
八味地黄丸(はちみじおうがん)は、排尿トラブルに対するアプローチが上述3処方とは全く異なる漢方薬です。加齢や冷えによる腎機能の低下(腎陽虚)に伴う尿トラブルを改善するための補剤で、6つの生薬からなる六味地黄丸(ろくみじおうがん)に桂皮と附子という温める生薬を加えた8種構成です。主に高齢者の夜間頻尿や尿漏れ、排尿に力が入らず時間がかかるといった症状に用いられます。体を温めて腎臓・膀胱の機能を高めることで、尿を蓄える力・出す力を補い、夜間や寒冷時のトイレ回数を減らす効果が期待できます。
猪苓湯のように炎症を直接治す効果はありませんが、感染や炎症がないのに頻尿がある場合や、膀胱炎治癒後も残る排尿弱さ・残尿感の背景に腎虚が疑われる場合に八味地黄丸が選択されます。反対に、明らかな炎症症状(痛み・熱感)があるケースでは八味地黄丸は適さず、猪苓湯や五淋散のような利水・清熱薬がまず用いられます。
清心蓮子飲(111)
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)は、ストレスや疲労による頻尿・残尿感に用いられる処方です。処方名の「清心」は文字通り心(しん:精神)の熱を冷ますこと、「蓮子」は蓮の実のことで、心身を落ち着かせ膀胱の機能を安定させる生薬です。
清心蓮子飲は、精神的緊張でトイレが近くなる「神経性頻尿」や、検査で異常がないのに膀胱炎のような不快感が続くケースに適しています。配合生薬により自律神経のバランスを整え、膀胱の過敏状態を鎮める作用があります。また、口や喉の渇きがあるのに尿は出にくいといった一見矛盾する状態(陰虚と湿熱の挾持)にも対応できるよう、清熱と滋養の両面からなる処方設計になっています。
猪苓湯と比べると、清心蓮子飲は直接的な利尿効果は穏やかで、むしろ心身のケアを通じて間接的に排尿トラブルを改善する点に特徴があります。精神面の不調(不安・イライラなど)を伴う頻尿には清心蓮子飲が向き、炎症主体で緊張はない頻尿には猪苓湯が向く、といった具合に使い分けられます。
副作用や証が合わない場合の症状
猪苓湯は比較的マイルドで安全性の高い処方ですが、体質に合わない場合や長期間・大量に服用した場合、副作用が現れる可能性があります。
- 消化器症状:まれに胃もたれ・食欲低下・吐き気・軟便などが生じることがあります。猪苓湯には体を冷やし湿を出す生薬が多く含まれるため、胃腸が冷えやすい方では下痢気味になることがあります。服用中に強い胃の不快感が続く場合は、いったん服用を中止し医師にご相談ください。
- 皮膚症状:発疹、かゆみ、蕁麻疹(じんましん)などのアレルギー反応がごくまれに起こることがあります。万一、服用後に皮膚の異常が見られた場合は早めに医療機関を受診してください。
- 重篤な副作用:猪苓湯には甘草や麻黄といった特殊な生薬は含まれておらず、重篤な副作用はほとんど報告されていません。ただし、利尿作用が高いため長期の過量服用により脱水や電解質異常(低カリウム血症)を招くおそれがあります。極度の倦怠感や筋力低下、こむら返り(足がつる)などの症状が現れた場合は使用を中止し、医師の評価を受けてください。
また体質(証)が合わない場合、期待する効果が得られないばかりか症状が悪化することがあります。例えば体内の水分自体が不足している陰虚(いんきょ)の方や、ほてり・のぼせが強く汗をかきやすいタイプの方に猪苓湯を用いると、かえって喉の渇きやほてりが増す恐れがあります。
このような乾燥傾向の人には猪苓湯は適さず、別の処方を検討する必要があります。逆に、冷えが強く尿量が多い腎陽虚のタイプ(むしろ水分を出しすぎる体質)にも効果が乏しく、その場合も他の温補系の処方が用いられます。
併用禁忌・併用注意な薬剤
猪苓湯には麻黄(マオウ)や附子(ブシ)のような刺激性・毒性の強い生薬は含まれておらず、併用を絶対に避けるべき薬剤は少ないとされています。しかし、以下のような場合には併用に注意が必要です。
- 利尿薬(尿を出す薬)や副腎皮質ステロイド剤との併用:猪苓湯の利尿作用が加わることで、これらの薬剤によるカリウム喪失や脱水のリスクが高まる可能性があります。利尿薬(例:フロセミドなど)やステロイドを服用中の方が猪苓湯を併用する際は、むくみの変化や筋力低下などに注意し、必要に応じて医師に相談してください。
- 降圧薬や強心薬との併用:猪苓湯の服用によって利尿が促進されると、血圧や心臓への負荷が変化する場合があります。高血圧治療薬や心不全の薬(強心薬)を使用中の方は、漢方開始後にめまいや動悸などがないか様子をみてください。特にジギタリス製剤を服用中の場合、低カリウム状態になると薬の作用が強まり不整脈のリスクが増すため、併用は慎重に行う必要があります。
- 抗凝血薬(血液をサラサラにする薬)との併用:猪苓湯に含まれる阿膠(あきょう)には止血作用(出血を止める作用)があるため、ワルファリンなど抗凝固薬の効果に影響する可能性があります。実際に大きな相互作用は報告されていませんが、抗凝血薬を服用中の方が猪苓湯を併用する際は定期的に血液検査を受けるなど注意が必要です。
- 他の漢方薬やサプリメントとの併用:猪苓湯と同様に利尿作用を持つ漢方薬(例:五苓散や防已黄耆湯など)を併用すると、生薬の重複により効果が過度に現れ脱水を招く恐れがあります。また、民間薬やサプリメントでも利尿作用のあるもの(ウワウルシ茶、メリロート含有サプリ等)との組み合わせには注意が必要です。複数の漢方薬やサプリを服用中の方は、自己判断での併用を避け、事前に医師・薬剤師に相談してください。
含まれている生薬の組み合わせ、なぜその生薬が選ばれているか
猪苓湯は、その名前にもある猪苓を主薬とし、5種類の生薬を組み合わせて作られています。配合されるのは「猪苓(チョレイ)」「茯苓(ブクリョウ)」「滑石(カッセキ)」「沢瀉(タクシャ)」「阿膠(アキョウ)」の5つです。水分を体外に出す生薬と、炎症を冷ます生薬、そして体を潤す生薬がバランス良く含まれており、利尿による排菌と粘膜保護を同時に叶える処方設計になっています。それぞれの生薬の役割は以下の通りです。
猪苓(チョレイ)
猪苓はサルノコシカケ科のキノコ(菌核)で、その名はイノシシの糞に形が似ていることに由来します。利水作用(尿を出す作用)に非常に優れ、古くからむくみや尿閉を治す生薬として珍重されてきました。味は淡泊で性質は平(ニュートラル)であり、腎・膀胱に働いて余分な水分を体外へ排出します。猪苓湯では主役として、停滞した水分(湿)をしっかり利尿させる中心的な役割を担います。猪苓の利尿効果によって膀胱や尿道に停滞する病邪を洗い流し、排尿障害を改善します。
茯苓(ブクリョウ)
茯苓も猪苓と同じくキノコ由来の生薬で、白く大きな菌核(マツホド)を乾燥させたものです。利水作用と健脾作用をあわせ持ち、尿を出しつつ胃腸の働きを整えるという特徴があります。猪苓と同様に甘淡で穏やかに利尿を促進し、むくみや余分な水分を除去します。
また、茯苓には心神を安定させる作用(寧心作用)もあり、不安や不眠を和らげる効果も期待できます。猪苓湯では猪苓・沢瀉と協力して水分代謝を促す一方、胃腸への負担を軽減し、全体の調和を取る役割を果たします。長期の排尿トラブルで弱った消化機能を補いながら利尿する生薬として欠かせません。
滑石(カッセキ)
滑石は鉱物由来の生薬で、白色の滑らかな石を粉末にしたものです。清熱利湿(せいねつりしつ)の作用があり、体にこもった熱を冷まし、湿を尿とともに出す働きをします。滑石の特徴は、その名の通り「滑らか」であることから、尿路を滑らかにして通淋(つうりん)(尿の通りを良くする)効果がある点です。膀胱や尿道の炎症でヒリヒリする状態を、滑石が潤滑油のように滑らかにし、痛みを緩和するとされています。
また、滑石は体内に吸収されず消化管から尿中にそのまま排泄されるため、熱と老廃物を吸着して排出するとも言われます。猪苓湯において滑石は、炎症(熱)を冷ましながら尿の出をスムーズにする重要な生薬です。
沢瀉(タクシャ)
沢瀉はオモダカ科の水草(サジオモダカ)の塊茎を乾燥させた生薬で、強力な利尿作用を持ちます。五苓散など複数の利水処方に配合され、水滞によるむくみ・排尿困難を改善する主力生薬です。性質は寒(冷却性)で、腎・膀胱経に入って下焦(かしょう:下半身)の余分な水分を排出します。猪苓・茯苓と組み合わせることで利尿効果がさらに高まり、体内に溜まった水毒を徹底的に取り除きます。
また、沢瀉には脂肪代謝を助けてコレステロールを下げる作用も報告されており、現代ではむくみと高血脂傾向を併せ持つ方にも有用とされています。猪苓湯では、水分停滞による腫れや違和感を解消し、膀胱の機能を正常化する役割を担っています。
阿膠(アキョウ)
阿膠はロバの皮を煮詰めて作る動物性生薬で、滋陰養血(じいんようけつ)(体の陰液や血を補う)作用に優れます。コラーゲンを主成分とするゼラチン質で、古来より滋養強壮剤・止血剤として珍重されてきました。猪苓湯において阿膠は、他の利尿薬が水分を排出するのに対し、失われがちな体液を補い、潤いを守る目的で配合されています。激しい利尿により生じる喉の渇きやほてりを和らげ、体力の消耗を防ぐ「裏方」として働きます。
また、膀胱炎や結石で傷ついた尿路粘膜の修復を助け、血尿や痛みを改善する効果も期待できます。阿膠が加わることで、猪苓湯は利水しても身体を干からびさせないバランスの取れた処方となっているのです。
猪苓湯にまつわる豆知識
- 古典での記載:猪苓湯は中国の医聖・張仲景(ちょうちゅうけい)が著した漢方医学書『傷寒論』『金匱要略』(3世紀頃)に収載されています。【少陰病で「汗をかいた後に喉が渇き、小便不利、心煩(落ち着かない)」といった症状に用いると記載】されており、約1800年前から尿トラブルの特効薬として知られていたことがわかります。
- 五苓散との関係:猪苓湯の構成は、利尿三薬(猪苓・茯苓・沢瀉)に清熱薬(滑石)と滋陰薬(阿膠)を加えたものです。一方、類似処方の五苓散は利尿三薬に桂皮(けいひ)と白朮(びゃくじゅつ)を加えたもので、体を温めつつ水をさばく処方です。つまり、猪苓湯は五苓散から温める成分を除き、その代わりに冷ます成分と潤す成分を加えた形になっています。この違いにより、五苓散は主に冷えを伴う水滞(むくみや下痢など)に用いられ、猪苓湯は熱を帯びた水滞(膀胱炎など)に用いられると使い分けられます。
- 現代での活用:猪苓湯は現在でも泌尿器科領域で頻用される漢方薬です。抗生剤が効きにくい慢性膀胱炎や、放射線治療後の出血性膀胱炎などで、猪苓湯が著効したとの報告があります。また、前述のように抗生剤治療中に併用して膀胱粘膜の修復を促す目的で処方されることもあり、西洋医学と漢方の補完的な役割を果たしています。長年培われた経験と現代の知見の双方から、その有用性が支持されている処方です。
- 煎じ薬の風味:猪苓湯は比較的クセの少ない味の漢方薬として知られています。煎じた際の色は薄い褐色で、味はわずかな苦味と土のような風味がありますが、甘草や麻黄を含まないため強い苦みや甘みはありません。生薬のキノコ類由来のほのかな旨味と、阿膠のとろみが感じられ、漢方初級者の方でも飲みやすい部類に入ります。「漢方薬=苦い」のイメージで敬遠される方も、猪苓湯は抵抗なく服用できたという声が多いです。
まとめ
猪苓湯は、体内に湿熱(余分な水分と熱)が滞っているために膀胱や尿道に不調が生じている方に適した漢方薬です。利尿によって身体に溜まった不要な水分や粘液を排出しつつ粘膜を保護することで、膀胱炎の排尿痛や残尿感、尿路結石の疼痛、慢性的な頻尿などの症状改善が期待できます。
比較的副作用の少ない処方ではありますが、体質に合わない場合や他の漢方薬・医薬品との併用時には注意が必要です。陰虚など適応とならない証では効果が出にくいため、専門家による証の見立てが重要となります。
当クリニックでは患者様の症状や体質(証)をじっくりと伺い、一人ひとりに合った漢方薬をご提案しています。
証の判断・漢方薬の選択に悩む場合は長崎クリニック浜町漢方外来までぜひご相談ください。