防已黄耆湯(ツムラ20番):ボウイオウギトウの効果、適応症

防已黄耆湯は、古くからむくみ(浮腫)や肥満の治療に用いられてきた漢方処方です。中国の古典『金匱要略(きんきようりゃく)』に起源を持ち、現在でも関節の腫れ水太り体質の改善に幅広く使われています。特に体力が中程度以下で疲れやすく汗っかきの方に適した処方で、現代では変形性膝関節症などによる膝の痛みや下半身のむくみの第一選択肢として知られています。

目次

防已黄耆湯の効果・適応症

防已黄耆湯には主に余分な水分を排出する効果と、体力(気力)を補い汗の調節をする効果があります。利尿作用によって体内の余分な水をさばき、むくみを改善すると同時に、虚弱な体質を補強して疲労感や多汗傾向を整えます。

適応となる典型的な体質は、色白で筋肉が柔らかく、いわゆる「水ぶとり」の傾向がある人です。具体的には「体力中等度以下で疲れやすく汗っかき」というキーワードが当てはまります。このような方が以下のような症状を伴う場合に防已黄耆湯が検討されます。

  • 関節の腫れや痛み(特に膝)を伴うむくみ
  • 下半身の浮腫(立ち仕事や塩分過多で足がパンパンにむくむ 等)
  • 肥満症(筋肉に締まりがなく水分代謝が悪いタイプの肥満)
  • 多汗症(虚弱体質ゆえの異常な発汗)

これら以外にも、腎臓病(慢性腎炎やネフローゼ)によるむくみ、月経不順皮膚病に伴う水分代謝異常など幅広い症状に使われることがあります。ただし重要なのは、症状だけでなく患者さんの体質(証)が上記のような特徴に合致していることが効果発揮のポイントです。

よくある疾患への効果

防已黄耆湯は様々な疾患・症状に応用されていますが、特によく使われるケースについて見てみましょう。

変形性膝関節症による関節痛・関節水腫への効果

中高年の方に多い変形性膝関節症で、膝関節に水がたまって腫れたり痛んだりする場合、防已黄耆湯がよく処方されます。肥満気味で膝に負担がかかっている人や、膝が腫れて曲げ伸ばしが辛い人で、なおかつ体力がなく汗かきという条件に当てはまれば、この漢方薬が第一選択となることが多いです。
防已黄耆湯を服用すると、利尿作用で膝周りの余分な水分が減少し、関節の腫れが引きやすくなります。また、抗炎症作用も期待できるため、痛みの軽減にもつながります。実際、膝に水が溜まりやすい人が継続して服用することで、関節穿刺(膝から水を抜く処置)の頻度が減ったという報告もあります。変形性関節症の痛みは体重管理も重要ですが、防已黄耆湯は水分代謝の改善という側面から膝への負担軽減に寄与します。

肥満症・メタボリックシンドロームへの効果

防已黄耆湯は、肥満症(特に水太りタイプ)の漢方治療にも用いられます。食べ過ぎではないのになかなか痩せない、体がむくんでぽっちゃり見える、といったケースで体質的に水分代謝が悪い場合に適しています。処方の中の生薬が水分の排泄を促し、基礎代謝を高めるため、脂肪燃焼をサポートするとされています。
実際、「運動しても汗ばかりかいて体重が減らない」「下半身ばかり太っている」といった人がこの漢方を試し、むくみが取れてスッキリした結果、体重減少につながるケースもあります。ただし、防已黄耆湯はあくまで体質改善を図る漢方薬であり、劇的なダイエット薬ではありません。食事・運動療法と併用しながら、水はけの良い体質に整えることで太りにくい身体作りを目指す位置づけです。また、高血圧・高血糖などを直接下げる薬ではないため、メタボリックシンドロームそのものの治療というより、「水太り体質の改善」にフォーカスしたサポート役と考えるとよいでしょう。

むくみ(浮腫)全般への効果

足や顔のむくみに悩む方にも、防已黄耆湯はよく使われます。夕方になると足首が靴下の跡でパンパン、朝起きると瞼が腫れる、といった日常的な浮腫体質に対し、この処方が体質改善に役立つことがあります。利尿作用によって尿の出が良くなり、余分な水分を体外に出すことでむくみを改善します。
また、汗を適度にかける体質に整える作用もあり、身体にたまった水分を汗と尿の両面から発散・排泄させる効果が期待できます。例えば冷房で身体が冷えてむくむ方よりも、暑がりで汗をかくのにむくむという矛盾したタイプ(体内に水が滞っている)の方にマッチします。
慢性的なむくみは西洋医学的には原因不明とされることもありますが、漢方では「水滞」としてとらえ、防已黄耆湯のような利水剤で改善を図ることがあります。特に下半身のむくみ(脚のむくみ)に強い処方で、「夕方になると脚が象のよう」と嘆く方が服用し、靴が緩くなるほどむくみが改善した例も見られます。ただし、心臓や腎臓の病気が原因の重度の浮腫では根本治療にはならないため、そうした場合は専門医の治療が優先されます。

その他(多汗症・腎機能低下など)への効果

多汗症(異常な発汗)に対して、防已黄耆湯が奏効するケースがあります。汗っかきで少し動くだけでびっしょりになる体質の方は、東洋医学的には「気虚」で汗孔を統括できない状態と考えます。防已黄耆湯に含まれる黄耆(おうぎ)は汗腺の開閉を調節し、汗のかきすぎを改善するとされています。実際に虚弱体質ゆえの手足の異常発汗が、この漢方で和らいだ例もあります(緊張や更年期による多汗とは原因が異なるため、効果は体質によります)。

また、腎臓の機能低下に伴うむくみ(例:慢性腎炎、ネフローゼ症候群)に昔から用いられてきた経緯があります。利尿と免疫調整作用により、尿たんぱくの減少やむくみ軽減が期待できるとの報告もあり、現代の研究でも防已黄耆湯が腎臓を保護する可能性が検討されています。ただし、腎疾患の治療は専門的管理が必要であり、漢方は補助的に使われることが多いです。

同様の症状に使われる漢方薬との使い分け

むくみや肥満といった症状に対しては、防已黄耆湯以外にも複数の漢方薬が使われます。症状が似ていても患者さんの体質により処方が異なるため、以下のような代表的な漢方薬との使い分けが行われます。

  • 五苓散(17) – むくみ全般に広く使われる利尿剤的処方です。体質を問わず急性の水滞(水分停滞)に用いられ、例えば飲み過ぎ・二日酔いのむくみや腹水、下痢を伴うむくみに効果があります。比較的体力がある人や、一時的に水がたまっているケースに使われ、防已黄耆湯のような「汗かきの虚証」でなくても適応します。喉の渇きがあるむくみにも用いられます(防已黄耆湯の方はあまり口渇がない人向き)。
  • 真武湯(30) – 冷えを伴うむくみに使われる処方です。防已黄耆湯が「汗かきで暑がり」の人向けなのに対し、真武湯は手足が冷えて汗をかかないような陽気不足(冷え性)の虚証に適します。心腎機能が低下して足がむくみ、めまいや下痢、倦怠感を伴うようなケースで選択されます。例えば心不全や腎不全による重度のむくみには真武湯が用いられることがあり、冷え症で顔色が青白いような人には防已黄耆湯より真武湯が合います。このように、むくみ+冷えなら真武湯、むくみ+汗かきなら防已黄耆湯というように証で使い分けます。
  • 防風通聖散(62) – 肥満症の代表的処方で、熱証の余分な脂肪太りに使われます。防已黄耆湯が水太りの虚証向けなのに対し、防風通聖散は腹部肥満のがっちりした実証に適します。便秘しがちで高血圧傾向のメタボ体型には防風通聖散を選び、お腹に脂肪が多く顔色赤めの人に用います。一方で、防風通聖散は発汗・利尿・排便を促す攻めの処方なので、虚弱で汗かきの人には刺激が強すぎます。この場合は防已黄耆湯で穏やかに代謝を上げる方が安全です。同じ減量目的でも、体力に応じて防已黄耆湯と防風通聖散を使い分けるのがポイントです。
  • 当帰芍薬散(23) – 特に女性の貧血傾向や冷えを伴うむくみに使われる処方です。妊娠中の浮腫や月経不順など、血行不良と水滞が合わさった状態で処方されます。防已黄耆湯との違いは、当帰芍薬散は冷え性で貧血気味な人向けであることです。顔色が悪く、生理不順や更年期症状もあるむくみには当帰芍薬散が選択されます。一方、防已黄耆湯は貧血より疲労と汗、そして肥満傾向がキーワードなので、同じむくみでも体質によって両処方を使い分けます。

以上のように、防已黄耆湯は「虚証+水滞」にマッチした処方であり、実証の水滞には五苓散や防風通聖散、冷えの水滞には真武湯、血虚の水滞には当帰芍薬散、といった具合に住み分けています。医師や薬剤師は患者さんの舌の状態、脈、腹部の様子なども参考にしながら、最も効果を発揮しやすい処方を選んでいます。

副作用や証が合わない場合の症状

防已黄耆湯は比較的副作用の少ない処方とされていますが、注意すべき点はいくつかあります。含まれる生薬の一つ甘草(かんぞう)には、長期大量摂取により偽アルドステロン症(低カリウム血症・むくみ・血圧上昇など)を招くリスクがあります。そのため、防已黄耆湯を長期間服用していると手足のだるさやしびれ、脱力感などが現れることがまれにあります。これは筋肉のミネラルバランス異常(ミオパチー)による症状で、放置すると危険です。定期的に血中カリウム値の検査を受けたり、異変を感じたらすぐ服用を中止して医師に相談してください。

もう一つ留意すべき重篤な副作用は間質性肺炎です。漢方薬全般に言える稀な副作用ですが、服用中に空咳や息苦しさ、発熱が出て改善しない場合は、間質性肺炎の初期症状の可能性があります。この場合も直ちに服用を止め、医療機関を受診してください。

その他の副作用としては、発疹・かゆみなどの皮膚症状、食欲不振・胃の不快感など消化器症状が報告されています。これらはいずれも頻度は高くありませんが、何か体調に異変を感じた際は無理に続けず専門家に相談しましょう。

「証」が合わない場合、すなわち本来防已黄耆湯が適さない体質の方が服用すると、効果が出ないばかりか症状が悪化することもあります。例えば、がっちり体型でのぼせやすい実証の人が飲んでも、水分代謝に大きな変化は起こらず期待外れに終わるでしょう。
また、極端な冷え性の人が服用すると、十分に発汗できずに水分が滞ったままでかえってむくみが取れないことも考えられます。証に合わない状態で続けると、逆に倦怠感が増したり、ほてりや口の渇きなどの不調を招くことがあります。1ヶ月ほど服用しても改善が見られない場合は、その人の体質にこの処方が合っていない可能性がありますので、医師に相談して処方変更を検討します。

漢方薬は効果が穏やかな分、「適していれば徐々に改善し、適していなければ大きな変化がない」ことが多いです。したがって、自己判断で長く続けず、定期的に経過を評価してもらうことが大切です。

併用禁忌・併用注意な薬剤

防已黄耆湯自体に明確な併用禁忌薬はありませんが、含有成分の関係で併用に注意が必要な薬剤があります。特に注意したいのは、やはり甘草由来の副作用リスクを高める組み合わせです。

  • 他の甘草含有漢方薬との併用:複数の漢方薬を同時に服用する際に、いずれも甘草を含む処方だと偽アルドステロン症のリスクが高まります。例えば、防已黄耆湯と桂枝茯苓丸を一緒に飲む、といった場合です。医師・薬剤師は重複しないよう配慮しますが、市販薬と併用する際は成分をご確認ください。
  • 利尿薬(降圧利尿剤)との併用:利尿薬(フロセミドなど)や下剤を服用中の場合、カリウム喪失が起きやすいため、防已黄耆湯と併用すると低カリウム血症を起こしやすくなります。むくみ改善のため自己判断で両方使うのは危険です。医師の管理下で必要最低限の組み合わせに留めましょう。
  • ステロイド薬との併用:プレドニゾロンなどのステロイドも長期使用で電解質異常を起こすことがあります。甘草とステロイドの作用が重なると高血圧や浮腫を助長しかねません。持病でステロイドを使用している方は、防已黄耆湯を併用する際に定期的な血圧・血液検査を受けてください。
  • 強心配糖体(ジギタリス製剤)との併用:ジゴキシンなどを服用中の場合、低カリウム状態になると不整脈のリスクが増します。漢方薬と併用する場合も、電解質異常に陥らないよう注意が必要です。

これらは併用「禁忌」とまではいきませんが、併用するなら慎重な経過観察が必要という組み合わせです。また、防已黄耆湯には黄耆など免疫に作用する生薬が含まれるため、免疫抑制剤を使っている場合や自己免疫疾患をお持ちの場合は、事前に主治医に相談することが望ましいです。妊娠中の方も自己判断での服用は避け、必ず産婦人科医の許可を得るようにしましょう。

一般に漢方薬は食品や他の薬との相互作用は少ないと言われますが、全く無いわけではありません。特に持病で常用薬がある方は、漢方専門医や薬剤師に現在の薬を伝えた上で相談し、安全な範囲で併用することが大切です。

含まれている生薬の組み合わせ、なぜその生薬が選ばれているか

防已黄耆湯は6種類の生薬から構成されています。それぞれの生薬が役割を担い、互いに補い合うことで「水太り体質」を改善する効果を発揮します。

  • 防已(ぼうい):処方名にもなっている主薬で、利尿・消炎作用を持ち、体の余分な水分を排出します。関節の腫れや痛みを和らげる効果もあり、むくみと痛みを同時に改善する要となる生薬です。昔から「腰から下の水毒を取る」薬草として知られています。
  • 黄耆(おうぎ):虚弱な体質を補う補気剤です。汗腺の働きを調節し、汗のかきすぎを防ぐ作用があります。同時に利尿作用もあり、防已とともに水分代謝を促進します。黄耆は免疫力を高める作用もあるため、疲れやすい人の抵抗力アップに寄与します。
  • 白朮(びゃくじゅつ):脾胃(消化機能)を強くして水分代謝を助ける生薬です。身体にたまった水湿を乾かし、尿や汗として排出しやすくします。防已・黄耆と協力してむくみを取る効果を高めます。また、胃腸を元気にすることで全身の栄養・水分バランスを整え、水太りしにくい体質へ導きます。
  • 大棗(たいそう):ナツメのことで、補気・補血作用を持ちます。防已黄耆湯では他の生薬の調和役として配合されています。胃腸への刺激を和らげ、薬全体のまろやかさを出すために加えられています。体力のない人でも飲みやすく、消化吸収を助ける役割です。
  • 甘草(かんぞう):緩和・調和の代表生薬です。各生薬の働きをまとめ、副作用を抑える作用があります。甘草自体にも鎮痛・抗炎症作用があり、関節痛や炎症の軽減をサポートします。また、カリウム保持作用で一時的には利尿を抑える面もありますが、他の生薬との組み合わせで全体としてバランスをとっています。
  • 生姜(しょうきょう):体を温めて胃腸を整える生薬です。消化吸収を高め、生薬の有効成分を巡らせる手助けをします。防已黄耆湯は水分代謝を促す処方ですが、生姜が入ることで胃腸が冷えずに済み、虚弱な人でもお腹を壊しにくくなります。また、生姜の発汗作用が適度に働き、防已・黄耆の利水作用と合わせて汗と尿からの排水効果を高めます。

以上の6つの生薬が絶妙なバランスで配合されているのが防已黄耆湯です。防已+黄耆で利水と補気を同時に行い、白朮+生姜+大棗+甘草で脾胃を守りつつ調和する、という構成になっています。これは、「虚弱な人の水腫を治すには、体力を補いながら水をさばくべし」という漢方の知恵に基づいた組み合わせです。単に利尿剤のように水だけを出すのではなく、出す(防已・白朮)+補う(黄耆・大棗)+整える(甘草・生姜)を同時に行うことで、安全かつ穏やかに体質改善を図ります。

防已黄耆湯にまつわる豆知識

  • 名前の由来:防已黄耆湯の「防已」と「黄耆」はそれぞれ主役となる生薬名です。「防已」とは字義通り「己(おのれ)を防ぐ」、つまり病が自分に及ぶのを防ぐとの意味もあると言われます。一方「黄耆」の耆は長寿を意味し、黄色い長寿の薬という解釈です。組み合わせると「防已と黄耆を主薬とした湯(煎じ薬)」というシンプルな命名ですが、古人のユーモアで「方剤を考案した人物・方伎(ほうぎ)の名前に由来する」といった説もあります。
  • 防已の生薬学的トリビア:防已黄耆湯の主薬である防已は、現在日本で用いられているものは主に粉防已(ふんぼうい)=オオツヅラフジ科のStephania tetrandra(漢防己)という植物の根です。しかし一部の中国文献では木防已(コショウ科の植物)や広防已(ウマノスズクサ科の植物)も「防已」として使われてきました。特に広防已(Guangfangji)は腎毒性のあるアリストロキア酸を含むため、安全性の観点から現在は使われません。日本の防已黄耆湯は安全な漢防己を使用しており、生薬の品質管理が徹底されています。こうした歴史から、生薬名「防已」には複数の植物が存在するので注意が必要という豆知識があります。
  • 古典での位置づけ:防已黄耆湯は古典医学書『金匱要略』の「水気(すいき)」の章に収載されています。当時は「風水」(風邪のような要因で汗が出てむくむ病態)に対する処方とされました。現代でいえば汗腺の異常と水分代謝失調による浮腫のことです。古典には「防已黄耆湯治風水、汗出悪風、身重」といった記載があり、汗が出て風に当たるのを嫌がり、体が重だるい病にこの処方が効くと説明されています。今でいう気象病や水太り体質のむくみに使われていたと考えると、先人の知恵の的確さに驚かされます。
  • 現代研究の話題:近年の研究では、防已黄耆湯が持つ様々な薬理作用が解明されつつあります。例えば、抗炎症作用免疫調整作用により、リウマチなど関節リウマチ様の炎症性疾患に有効ではないかといった報告があります。また、肥満モデルの動物実験でレプチン抵抗性を改善し、食欲や代謝を正常化させる作用が示唆されたとの研究もあります。
    他にも、高尿酸血症の動物実験で尿酸値の低下や腎保護効果が見られたという報告もあり、痛風や腎障害への応用可能性が議論されています。ただし、これらはあくまで基礎研究や限定的な臨床報告であり、実際の患者さんへの効果は個人差があります。漢方治療はエビデンスの蓄積も進んでいる分野ですので、興味のある医療従事者の方は最新の研究動向もチェックしてみると面白いでしょう。
  • 市販薬としての防已黄耆湯:防已黄耆湯は医療機関で処方されるほか、市販の漢方製剤としても購入可能です。ツムラやクラシエなどからエキス顆粒や錠剤が販売されており、第2類医薬品として薬局で入手できます。商品名に「防已黄耆湯エキス顆粒」「防已黄耆湯錠」などと明記されており、むくみ改善薬として宣伝されています。ただ、市販薬だからといって安易に長期使用するのは禁物です。あくまでも自分の体質に合った場合に効果を発揮する薬なので、購入前に薬剤師に相談し、自分の症状・体質に照らし合わせて適切かどうか確認すると安心です。

まとめ

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、「水太りで汗かき」という体質にマッチしたとき、むくみや関節痛、肥満傾向の改善に力を発揮する漢方薬です。古来より「虚証の水毒」を治す処方として重宝され、現代でも膝の痛みや下半身のむくみに悩む方の強い味方となっています。ただし、漢方薬は体質に合ってこそ効果が出るものです。同じむくみでも人によって適する処方は異なります。防已黄耆湯が気になる方は、専門の医師や薬剤師に自分の体質や症状を相談し、最適な漢方治療を受けるようにしてください。適切に用いることで、体内の余分な水をさばき、軽やかな毎日をサポートしてくれるでしょう。むくみ体質でお悩みの方は、一度漢方という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

当クリニックでは患者様の症状や体質(証)をじっくりと伺い、一人ひとりに合った漢方薬をご提案しています。

証の判断・漢方薬の選択に悩む場合は長崎クリニック浜町漢方外来までぜひご相談ください。

  • URLをコピーしました!
目次