葛根湯加川芎辛夷(ツムラ2番):かっこんとうかせんきゅうしんいの効果、適応症

<h2>葛根湯加川芎辛夷の効果・適応症</h2>

葛根湯加川芎辛夷は体力(胃腸)中程度以上の人の次の症状に適しています。

鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎

成人では1日に7.5gを2~3回に分割して、食前または食間(食後2時間)に水、または白湯でのむか、またはお湯に溶かして飲みます。

<h3>鼻づまり、蓄膿症や鼻炎への葛根湯加川芎辛夷の効果</h3>

比較的胃腸が丈夫な(胃腸が弱くない)中程度以上の体力のある人で、特に鼻づまりに効果があります。葛根湯が元になっているため、鼻づまりの症状の他に頭痛や首の後ろのこりがある人に適しています。

鼻づまりで寝苦しかったり、鼻水が喉に落ちる後鼻漏のような鼻症状があり、症状が慢性化した場合に用います。

蓄膿症に用いられる方剤には、他に辛夷清肺湯(104)と荊芥連翹湯(50)がありますが、辛夷清肺湯(104)は、濃い鼻水が出て鼻の奥に熱感を感じるような場合に有効とされています。荊芥連翹湯(50)は、若干の抗菌効果が認められており、胃腸が丈夫な皮膚の浅黒いタイプで、喉や顔、鼻など体上部の炎症がある場合に用いられます。鼻づまりがある場合は、葛根湯加川芎辛夷と辛夷清肺湯(104)が用いられます。

<h2> 葛根湯加川芎辛夷の副作用・証が合わない場合の症状</h2>

副作用

葛根湯加川芎辛夷は葛根湯(1)が元になっているため甘草が含まれており、稀な副作用として偽アルドステロン症を起こす可能性があります。

偽アルドステロン症の症状としては、低カリウム血症をおこし、血圧増加、むくみ、体重増加などが表れることがあります。
さらに低カリウム血症の結果として、ミオパチーを起こす可能性があります。症状としては、脱力感、手足のけいれんなどがあります。

その他、肝機能障害や横断、過敏症、胃腸障害、発汗過多、不眠、動悸などが起こる可能性があります。

証(症状や身体所見からみた現在の健康状態・病態)に合わない場合

病後など体力が衰弱している時には副作用が表れやすくなる可能性があります。

胃腸が虚弱な人の場合、麻黄が含まれているため食欲不振や胃部不快感、吐き気などを起こす場合があります。

汗を多くかいている場合は、発汗過多、全身脱力感などが起こる可能性があります。

<h2> 葛根湯加川芎辛夷の生薬の組み合わせ、なぜその生薬が選ばれているか</h2>

葛根湯加川芎辛夷は、葛根湯(1)の7つの構成生薬である葛根(カッコン)、桂皮(ケイヒ)、大棗(タイソウ)、芍薬(シャクヤク)、麻黄(マオウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)に、川芎(センキュウ)と辛夷(シンイ)が加わった9種類でできています。そのため、葛根湯加川芎辛夷といわれています。

葛根湯(1)は、発汗、熱を発散させ、痛みや炎症を抑える働きがあります。首のこりや頭痛を伴う鼻づまりでは、鼻水という余計な水や熱を発散させながら、鼻づまりや鼻水に有効な辛夷と血行をよくして痛みを和らげる川芎が働きます。

<h2> 葛根湯加川芎辛夷のまとめ</h2>

葛根湯加川芎辛夷は、首の凝りや頭痛を伴う慢性化した鼻づまりに飲むとと良いでしょう。葛根湯(1)の中に含まれる麻黄は胃腸障害の原因となり甘草は食品などにも成分のグリチルリチンが含まれているものが多いためとりすぎに注意が必要です。この2つは副作用や慎重投与の原因となる生薬になり、そのため葛根湯加川芎辛夷を飲めないようであれば、辛夷清肺湯(104)を使うという選択肢もあります。

辛夷清肺湯(104)のほうが麻黄がない分胃腸への負担は少ないですが、長期にわたると負担がかかることがあり、いずれにしても、胃腸が弱っている場合だと適さない場合があるためその点はまず注意が必要です。

証の判断・漢方薬の選択に悩む場合は長崎クリニック浜町漢方外来までぜひご相談ください。

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